皮膚科について

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皮膚は外界から身体を守る重要な役割を果たしており、温度や湿度の変化、紫外線、空気中のホコリや花粉など、日常的に様々な刺激にさらされています。それにより、様々なトラブルも起こり得ます。また皮膚は、内臓や免疫システムなどの異常がサインとして現れる場所でもあります。診療にあたっては、皮膚の症状を詳細にみていくとともに、内臓疾患や血行、ホルモンバランス、ストレスなどの影響も念頭に置き、必要に応じて各種検査も行いながら、丁寧な診療を行っていきます。

皮膚科では以下のような症状・疾患の診療を行っています

湿疹・かぶれ

湿疹とは赤いブツブツとしたものができる皮膚症状の総称で、皮膚炎とも呼ばれ、その症状はブツブツの他、かゆみや小さな水疱が現れる場合もあります。原因には様々なものがありますが、多くみられるのは接触皮膚炎、いわゆる「かぶれ」です。その他にはアレルギーやアトピーなど原因がはっきりしないものもあります。発症後間もないものは急性湿疹、長期化し皮膚がごわごわとしてしまっているような場合は慢性湿疹と呼ぶこともあります。

接触皮膚炎(かぶれ)は、何らかの刺激物質や植物などのある特定の物質が皮膚に付くことで発症するものです。湿疹の症状が現れ、炎症部分に細菌が入り込んでしまうと、皮膚に膿が溜まったり、ただれたりしてしまいます。原因となる物質としては洗剤や化粧品、洗顔剤や洗髪剤、衣類、ウルシやイチョウなどの植物、アクセサリーなどの金属、樹脂やゴム、さらに塗り薬など、様々なものが挙げられます。

蕁麻疹

蕁麻疹(じんましん)とは、突然、皮膚が蚊に刺されたような盛り上がり(これを膨疹といいます)ができ、数時間~24時間と比較的短時間で消えてしまう皮膚の疾患です。盛り上がりは赤みや痒みを伴うことか多く、その大きさは2~3mmの円形、もしくは地図状に拡がる場合もあります。蕁麻疹のほとんどが原因不明で、原因を特定できるのは全体の1~3割程度と言われています。

蕁麻疹が引き起こされるしくみとしては、ヒスタミンという物質が、何らかの理由で体内に放出されることにより、痒みの症状とともに蕁麻疹が現れると考えられています。ヒスタミンが放出される要因としては、アレルギー性のものと非アレルギー性に分けられます。

アレルギー性の蕁麻疹では、食物や薬剤、植物などに含まれる物質が原因物質(アレルゲン)となって、食べたり触れたりすることで、アレルギー反応が起こり、ヒスタミンが放出されて、発症すると考えられています。また非アレルギー性の蕁麻疹は、機械的な摩擦や寒暖差の刺激、日光、運動後や入浴後に汗をかくことなどにより発症するものがあります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、慢性的に痒みを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患のことで、皮膚のバリア機能が低下することにより発症すると考えられていますが、その原因はまだよくわかっていません。現在では遺伝やアレルギー体質(喘息や花粉症などのアレルギー疾患を発症しやすい)、皮膚が乾燥しやすい状態である、などということが関係しているとも考えられています。

アトピー性皮膚炎は子供のころ(1歳未満の乳幼児から)に発症することが多く、通常は成長するにしたがって改善していきますが、成人になってもアトピーが残る人、また成人になってからアトピーを発症する人もいます。

年齢によって症状の傾向が変化し、乳児期は頭や顔に多く症状が現れ、幼児期ではそれがだんだんと下肢に拡がる傾向にあります。特に関節部にできやすいとされ、皮膚の乾燥も伴ってきます。思春期以降では、顔、胸、背中、といった上半身にできやすくなります。乳児の場合は2ヶ月以上、幼児~成人の場合は6ヶ月以上症状が続くと、アトピー性皮膚炎と診断されます。

イボ、水イボ

イボはウイルス性疣贅(ゆうぜい)あるいは尋常性疣贅とも呼ばれ、数mm~1cm程度の小さな皮膚の盛り上がりのことを指し、痛みなどはほとんどありません。原因はヒトパピローマウイルスへの感染で、皮膚の微小な傷からウイルスが侵入することにより発症します。

また水イボは、伝染性軟属腫ウイルスの感染で発症するもので、中央が凹んだツヤのあるブツブツとしたものです。乳児から保育園、幼稚園、小学校に通う幼児や児童によくみられ、感染力が強く、プールなどで接触することにより感染する場合も多くあります。

イボも水イボも、原因となるウイルスが皮膚に接触することで、皮膚の他の部分や、他の人に感染する危険性があります。イボを触った手で他の場所を触らない、食器やタオル、各種道具などを共有しないようにする、といったことで予防していくことが大切です。

帯状疱疹

帯状疱疹は、子供の時に罹患することが多い「水ぼうそう(水痘)」の原因と同じ、水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるもので、体の片側にチクチクとした痛み、および水疱が生じる疾患です。一度水ぼうそうに罹ると免疫が付きますが、実は症状が消えた後もウイルスは体内の神経節に潜み続けています。そして加齢や強いストレスなどで抵抗力が低下し免疫が働かなくなると、ウイルスが活性化し、帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹は神経節に沿って現れます。神経は左右別々に枝のように伸びているため、体の片側のみ、帯状に現れるという特徴があります。また神経の中に入り込んで炎症を起こすため、強い痛みを伴うことも特徴です。早期に治療を開始しないと、ピリピリとした痛みが後遺症(帯状疱疹後神経痛)として残り、長期間、痛みに悩まされる場合があります。身体の片側の痛みや特徴的な疱疹が現れたら、お早めにご受診ください。なお50歳以上の方には帯状疱疹の予防接種の適用もあります。